大糸線の旅・小谷温泉
1978年の12月の中旬、待望の白馬村に来ていた。
宿泊したのは、神城・堀の内の民宿。
以前宿泊し親切にしていただいた宿だと思い
予約を取っていたのだけれど、着いてみると、様子がおかしい。
どうも私の勘違いだったらしい。
しかしここでも、親切に応対していただけて、感謝。
こんな風なメモが残されていました。
この年の11月、田染は2週間ほどフランスに行っており、
帰宅早々から、日本の風景に会いたいという思いに駆られていたようです。
ただ、残念なことに天候が思わしくなく、白馬の山は見えずじまい。
翌日宿の方が、車であちこち案内してくださったのですが
意に添わなかったようで、即、別の土地、
以前から訪れたいと思っていた小谷温泉に出向くことにいたしました。
宿の手配もせぬまま、昼頃小谷温泉郷に入りました。
道中、雪が散らつきはじめていたのですが、
どうやら本降りになりそうな空模様。
幸いなことに宿にも恵まれ・・ただ当時は、暖房完備とはいかず
おこたの温もりが極楽でした。
その日田染は、旅装を解く間もなく宿を飛び出しています。
彼にしてみると、待ち望んでいた風景に出会えたようで、
しきりに、よかった、ここに来てよかったと申しておりまして、
寒さに音を上げて、途中から引き返してしまった私をよそに
薄暗くなるまで戻ってはきませんでした。
そして、"山が美しかった・・ 焼山も見えた・・"
などいろいろ話しておりました。
翌日は雪のため、温泉郷までのバスは運休。
この日も1日、描きに出ております。
この時の小谷温泉で描いた絵を何点か紹介いたします。
これは、小谷温泉から南小谷駅へくだる途中の風景です。
描きながら彼は、" 雪面の陰影が美しい・・ " と、もらしておりました。